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フォーラムの設立趣旨
2002年5月7日

発起人
阿部  泰隆  (神戸大学)
磯部  力 (東京都立大学)
小早川 光郎  (東京大学)
芝池  義一  (京都大学)


企画の趣旨
 ここ10年ほどの間に、行政手続法や、行政機関情報公開法および独立行政法人等情報公開法の制定があり、また、国家行政組織の再編や地方自治法の大改正が行われました。個別の法律を見ましても、環境行政関係の法律をはじめとして、行政関係の法律の改廃は激しいものがあります。規制緩和の動きも急です。さらに、行政機関個人情報保護法や独立行政法人等個人情報保護法の制定が見込まれ、行政事件訴訟法の改正ないしそれに代わる新法の制定も展望されています。このほか、時代にそぐわなくなって、改正を要する法律も無数にあります。

 日本の行政法は大変動期にあり、行政法学も、これらの新しい法律の解釈のほか、これからの新しい行政法のしくみの理論的基盤を強化するなど、その対応を迫られていると言わなければなりません。加えて、法科大学院や司法試験における行政法の必修化、公共政策大学院の設立など、行政法学への期待も高まっているという状況があります。

 このような状況において、日本公法学会に加え、全国の行政法研究者の相互研鑽の場として、行政法独自の学会を設立することも十分考えられるところであります。ご承知のように、憲法の分野では、独自の学会が複数存在しています。しかし、恒常的な組織を設けるためには検討すべき点が多々あります。

 そこで、行政法学に課せられた課題の緊急性を考え、とりあえずは、単発的な企画として、行政法研究フォーラムを開催することに致しました。この行政法研究フォーラムでは、行政訴訟制度の改革問題を取り上げます。折しも、司法制度改革推進本部の行政訴訟検討会において、この問題が審議されています。この問題はかねてより学界において議論されてきたものですが、立法の参考になるだけの十分な議論がなされてきたわけではありません。そこで、この段階で、行政法研究に携わる者が相集い、この問題について意見を戦わせることは、大いに意味があるものと考えます。

 行政法研究フォーラムは、下記の要領で行われます。行政法研究者の皆様におかれましては、万障を排してご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。なお、今回の行政法研究フォーラムの開催は、上述致しましたように、直ちに行政法研究のための新しい恒久的な組織の設立に結びつくものではありません。したがってまた、今回のフォーラムへの参加が、直ちに新行政法研究組織への参画を意味することになるわけでもありません。

 しかし、そうした新しい研究組織を設立することの意義や必要性については我々も認識 しており、可能であれば、今回のフォーラムを機に、誰もが広く参加できる研究組織の設立準備会を立ち上げたいとも考えているところです。この点につきましては、いずれあらためてご相談申し上げる所存でおります。